フランス伝統料理「テルミドール」とは
テルミドールは120年以上の歴史があるフランスの伝統的な料理で、見た目の華やかさから一品で特別感を演出できるメニューです。
海外では一般的にロブスターで調理されますが、日本では伊勢エビでつくられる極上のテルミドールを味わうことが出来ます。
ロブスターは英語名で、フランスではオマール海老とも呼ばれ、どちらも同じ種類です。ロブスターは身が締まっていて食感がプリっとしているイメージで、伊勢海老はどちらかというと食感は柔らかいイメージですね。
一番の特徴は海老の上面に詰められた濃厚なソースにあります。このソースの材料にはバターや生クリーム、卵黄、マスタード、香り付けのハーブ、胡椒などが含まれ時間をかけてつくられます。
仕上げにコニャックまたはブランデーで風味付けをし、チーズをかけて表面に焦げ目をつけて出されるのが一般的です。
この表面のチーズはチーズフォンデュにもよく使われるスイス原産の「グリュイエール」や「パルメザンチーズ」が定番です。濃厚なバージョンでは、ソースにチーズを使用しさらに表面にチーズをトッピング。
海老とソースの芳醇な香り、鮮やかな赤とイエローのコントラストが食欲を刺激します。
現在テルミドールのレシピには多彩なバリエーションがあり、この料理の味を決めるソースの材料としてマッシュルームやセロリ、ほうれん草などの野菜や、時に酸味を少し入れるためのレモンや白ワインを加えます。
味の違いはソースのレシピにあります。 シェフのオリジナルによりレシピは様々なので、それぞれのレストランで味の違いを楽しんでみましょう。
「テルミドール」のルーツ
テルミドールは1890年代にパリで発祥したといわれています。
名称の由来は幾つかありますが、1894年にパリのレストラン「メゾンマイヤ」にて最初にメニューに出された日の夜、コメディフランセという劇場で「テルミドール」という演劇がはじめて公開されたことに由来したという説が有力です。
当時マイヤレストランとコメディフランセ劇場は近くにあり、レストランのフランス人シェフであるレオポルドが、テルミドールの初演を賞賛するためのレシピを考えたのがはじまりで、このレシピは劇に敬意を表して「テルミドール」と命名されました。
この劇の初演日が1月24日であり、現在まで「ナショナルロブスター・テルミドールデー 」という記念日になっています。
レシピを考案したレオポルドは「近代フランス料理の父」ともいわれる「オーギュスト・エスコフィエ 」のアシスタントを務めた経歴を持つ名シェフでした。
エスコフィエ氏は、当初一度に出されていたフランス料理にコースメニューをはじめて導入するなど歴史的な発展に貢献した人物です。
テルミドールはシンプルな料理ですが、レストランで提供される場合は海老のコストだけではなく、出来上がりまでに多くのステップを必要とするために当時から高価なメニューでした。
その後テルミドールのレシピはアメリカにまたたく間に広がり、特に1920年代の初期から中期にかけて高級レストランの定番メニューになる程の人気を定着させました。
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